~満月の夜~
家に帰ると、真美が帰ってきていた。
「・・・ただいま。」
「ハルくん、今日、仕事休みだったんだね!?
しかも、山吹先生が・・・・・亡くなったって、ほんと?」
「・・・ああ・・・。」
俺は真美にすべて話した。
山吹先生が俺の父親だったということ。
そして雨音が俺の姉さんだということ。
真美は、目に涙を潤ませながら、
「ハルくん・・・・・。好きだったんでしょ・・・?雨音さんのこと・・。」
「・・・・どうして?」
「・・・わかるよ・・・。真美はハルくんのカノジョなんだから、
それくらいわかってた。」
「・・・ごめん。」
「謝らないで。認めたってことでしょ?そんなのヒドイ。」
真美は涙を拭くと、立ち上がって、
「・・・私、ハルくんのキモチに整理がつくまで、もう会わない。
そのほうがいいと思う。」
真美は俺が思ってるより、ずっと大人だったんだね。
真美は荷物をまとめて、俺の家を出ていった。
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俺は本当に一人になってしまった。
あんなに雨音を好きだと思っていたのに、何故か、真美が
家を出て行ったとき、ぽっかり穴が開いてしまったような気がした。
いつも俺のそばで、拗ねて、笑って・・・
いつも一生懸命な真美。
俺は一番大切なモノを、見失っていたんだね。
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一週間後。
山吹先生の葬儀が終わり、店もいつもどおり、活気づいてきた。
雨音は、あれ以来、仕事を休んでいる。
当たり前だよな。
俺に会うのは複雑だから。
おかげで、俺と店長二人で店を稼動している。
疲労度もかなりきている。
今まで家に帰ると、真美がご馳走を作って待ってくれていた。
それも今は、ない。
「おーーい、ハルト!ちょっとあの棚に乗ってる たとう紙取ってくれるか?」
「え・・・あ、はい・・。」
俺は、立ち上がって たとう紙を取ろうとした瞬間、
急激にめまいに襲われた。
バターーーーーーーーン・・・!!!
「ハルト!??」
遠くで店長が俺の名前を呼ぶのが聴こえた。
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気がつくと、ベッドの上。
どこかの病室らしい。
「あぁ・・・・。俺・・・。」
「気がついた?大丈夫?」
この声・・?
「雨・・・音?」
「店長さんから電話いただいて・・・。ハルトくんが倒れたから
行ってやってくれって。」
「そうか。ちょっと疲れが溜まってたみたい。心配ないよ。
それより、どうして店長は真美じゃなくて雨音に連絡を・・?」
「・・・・・私、店長さんに全部話したから・・・。
私と山吹のこと・・。そして、私はハルトくんの姉だってことも。」
「・・・そっか。」
「今日は心配だから、私も一緒に泊まるから。」
「は!?何言ってんだよ。まずいだろ。」
「姉 としてよ。何変なこと考えてるの?」
「そんなんじゃないけど・・・。」
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その夜。
窓の外は満月だった。
窓から照らす月が雨音を怪しく照らしている。
俺と雨音が店で結ばれた夜みたいだね・・・。
「雨音?もう寝た?」
「・・・・・。」
寝たのか。
「・・・・寝てない。眠れるわけないじゃない・・。」
「俺も・・・。」
俺と雨音は満月の引力にひきよせられたみたいに、
気がつくとお互いの唇を合わせていたのだった。
~つづく~

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