~第十一章~
人が、生きていくうえで、出逢う人の確立・・・毎日違う人、
一人に出逢ったとしても、一年で365人に出逢うことになる。
その出逢った人たちが、自分にとって、どんな存在になるのかは、
さまざまで・・・。
自分にプラスになる人・・・マイナスになる人・・・。
自分の人生を変えるきっかけとなった人・・・。
・・・もしも。
もしも、この出逢いが・・・瞬と私の出逢いが、出逢う前から決まって
いたとするならば。
それは、もう避けられないことだったから、しかたのないこと。
ねえ瞬?
私は、瞬にとって、どういう存在だった?
もう二度と会わないと誓ったけれど、まだ私はこんなにも
あなたを想う・・・。
忘れるなんて出来ない。
もう一度、あって確かめたい。
私のことは、遊びだったのか、と。
私は、おもむろに瞬の番号をプッシュした。
「もしもし・・・瞬?」
「栞!?どうしたんだよ!?いきなり怒ってスタジオ飛び出して・・・。
ケータイも出ないし・・・。」
「・・・話があるの。」
「・・・俺もだよ。すべて、素直に話すから。今からスタジオ来れる?」
「うん。」
外は雨。
瞬と逢う日は、雨の日が多い。
瞬が描く青空には、ほど遠い・・・。
スタジオにつくと、瞬が空の絵を描いていた。
「栞、ここ座って。」
「ん・・。」
「栞、今から話すことを、何も言わずに聴いてほしい。
俺はね・・・怜奈を守るためなら、どんなことをしてでも、稼ごうって、
がむしゃらだった。そして、思いついたのが、「絵」だった。
その頃、俺は、萌子を亡くして、毎日酒に溺れてて・・・。
こんなんじゃ、俺の親父と変わんねーな・・・って。
そして、そのときバーで潰れてた俺に、声をかけてきたのが、
一人の女だった。
淋しかった俺は、その女と遊んだ。そして、その女が、この方法で、
金儲けをしろ って。・・・俺は、悪魔だよ、ズルイやつだったよ。
馬鹿みたいに女は ひっかかってきて、裸描かせてくれる。
中には、描かせて って頼んでもいないのに、自ら おねだりして
くる女もいたし・・。」
「・・・ヤダ、そんなの聴きたくない」
「ゴメン。でも、事実なんだ・・・。でもね・・・栞に出逢って、考え方が
変わったんだ・・・。信じてもらえないかもしれないけど・・・。
俺は、もう、「空」の絵だけでやっていくことに決めた。
この前、美術館の支配人に、その相談をしに行ったんだ。
そのとき、栞に遭遇した。
だから俺は、余計に「空」だけでやっていくって思えた。
これは運命なんだ、って思った。
支配人は、しぶっていたよ。
俺のヌード画は、定評があったから・・。
でも、栞の裸を公に出すのは、正直悩んだ。
好きな女性の裸なんて、誰にも見せたくない。
・・・もう、割り切れない。
もう、栞の涙は見たくない。
栞・・・ほんと、どうしようもないくらい好きなんだ・・・。
こんなキモチ・・・はじめてなんだ・・・。あの夏祭りの日から、俺は、
どうかしているよ。」
・・・・・・・。
ほんとに?
ほんとに信じていいの・・・?
長い、長い沈黙のあと、瞬が口を開いた。
「俺・・・栞とはセックスなんかなくたっていいんだよ。
ただ、栞が好きだから・・・。好きだから、抱きたいって思う。
好きだから、キスしたいって思う。好きだから、裸になりたいって思う。
・・・ガキみたいだよね、ほんと。」
「瞬・・・。」
私は、瞬を抱きしめた。
「ありがとう・・・瞬のこと、信じる・・・。こんな単純な女・・・愛してくれて
ありがとう。」
「単純だから、いいんだよ。」
そのあとは、セックスもせずに、二人でずっとソファで寄り添っていた。
とくに何も話すわけでなく、ただ微笑みあいながら・・・。
いつのまにか雨もやみ、やわらかな木漏れ日が私たちを包んでいた。
~~つづく~~
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コメント
はじめまして。夢野と申します。たまたま今日、帰宅中(電車の中で)に読みましたが、久しぶりに性欲感にかられてしまいました。 これからも、ちょくちょく読ませて頂きますので、頑張って書いて下さい。
投稿: 夢野 風音 | 2007年9月 7日 (金) 22時53分
夢野さん、はじめまして!
そしてコメントありがとうございます!
久しぶりの性欲ですか・・
そう感じていただけると、描き甲斐があります!
今後の展開、楽しみにしていてくださいね。
よろしくお願いします。
投稿: みるく | 2007年9月 8日 (土) 08時53分